ほんのひとときでも誰かの居場所に

 

 

 

 

 

3年前位の話なのですが

 

近所に住むお友だちから

 

当時中学2年生だった娘さんのことで

 

相談を受けたことがありました。

 

 

「しばらく前から学校へ行けなくなってしまって・・・」と。

 

 

その娘さん(Kちゃん)は

 

時々うちに遊びに来たりもしていて

 

小学生の頃から知っている子でした。

 

 

優しくて繊細で、人の気持ちがわかる

 

そして、時としてわかりすぎてしまう。

 

 

だから、いろんな人がいる学校の中で

 

Kちゃんが苦しくなってしまっている状況は

 

よく理解できました。

 

 

頑張り屋でもあるから

 

どうにか頑張って学校へ行こうとしていたけれど

 

心も身体も限界がきてしまって。

 

 

お友だちも

 

「もうこれ以上頑張らせたくない。

 

とにかく今は休ませたい」と言っていました。

 

 

ただ、kちゃんにはとても行きたかった県立高校があり

 

その高校へ行くためには、やはり内申点も大事なのでした。

 

 

2年生の間は学校はお休みして

 

定期テストの時だけ学校へ行くことにしたけれど

 

勉強が遅れてしまうのが心配で・・・と。

 

 

お友だちといろいろ話し合った末

 

時々kちゃんが私の家へ来て

 

私と一緒に勉強することにしました。

 

 

kちゃんは我が家(のインテリア)を

 

以前からなぜだか気に入ってくれていて

 

「ここにいると落ち着く」と言ってくれていたのです。

 

 

少しでも気持ちが落ち着ける場所で

 

ゆっくりお茶でも飲みながら

 

お話したり、一緒に勉強したりできたらいいな、と。

 

 

私が一緒に勉強していたのは主に英語で

 

教科書の内容もやっていたけれど

 

kちゃんが興味を示してくれたので

 

留学の話や旅の話もよくしていました。

 

 

学生の間、特に小中学生は学校が生活の中心で

 

そこが自分の世界の全てのように感じてしまうこともあるかもしれず

 

そうすると、学校に居場所がないというのは本当に辛いことだと思います。

 

 

でも実際には、学校が全てではないし

 

まだ自分の知らない世界は果てしなく広がっている。

 

 

大人の私でもまだ知らないことだらけだけれど

 

kちゃんよりも長く生きてきた分

 

経験してきたことは多いわけで

 

その中で見てきたもの、感じたことを

 

少しでも伝えられたらいいな、と思っていました。

 

 

私は小中高時代、学校へ行かなかった時期はなかったけれど

 

思い返してみたら息苦しさを感じていたこともたくさんあり

 

大学に入ったらとても楽になり

 

海外へ出たらさらに心が自由になりました。

 

 

今は苦しいことも多いかもしれないけれど

 

これから必ず楽しいことがたくさんあるし

 

自分の居場所も見つかるよ、と

 

直接言葉にはしなかったけれど

 

kちゃんにはそんな思いで話をしていました。

 

 

3年生になり、クラスも担任の先生も変わり

 

kちゃんは学校へ行くようになりました。

 

でもその後も、一緒に勉強は続けたいとのことで

 

高校受験までは週に一度うちへ来て

 

一緒に勉強していました。

 

 

kちゃんが高校生になってからは

 

時々近所で会って挨拶をするくらいになっていたのですが

 

先日久しぶりにそのお友だちに会った時

 

現在高校2年生のkちゃんが

 

外国語大学を目指していて

 

留学も希望していると聞きました。

 

 

「あの時サトコさんと一緒に勉強して

 

 留学のお話もたくさん聞いて

 

 英語が大好きになって。

 

 自分も英語の勉強して留学したいから

 

 県外の外国語大学を目指すことにして

 

 この前、寮の見学も行ってきたんだ」と。

 

 

 

辛かったかもしれないけれど

 

今のkちゃんにも繋がっている大切な中学時代。

 

そのほんのひとときだけれど

 

一緒に過ごさせてもらって、こんなふうに

 

思わず涙が出そうになる報告を聞かせてもらえて・・・

 

なんてありがたいことなんだろう

 

と思いました。

 

 

 

しばらく前の松江塾の音読課題にもなっていた

 

椎名誠さんの「アイスプラネット」。

 

その中に出てくる「ぐうちゃん」みたいな大人が

 

私の憧れでもあり、自分の子どもの周りにも

 

『世界は、楽しいこと、悲しいこと、美しいことで満ち満ちている』

 

ということを、あれだけの説得力を持って伝えてくれる

 

ぐうちゃんみたいな大人がいてくれたらいいなと思う。

 

 

 

kちゃんにとって、私は

 

(自分の子育てに苦労している(^^;)近所のおばちゃんで

 

ぐうちゃんのような存在にはとてもなれないけれど

 

心が疲れてちょっと一休みしたいなと思った時

 

親以外の大人とちょっと話したいなと思った時

 

気軽に声をかけてもらえるような人でいられたらな、と思う。

 

 

そして、こんな風に思うのはおこがましいかもしれないけれど

 

大人も子どもも、ほんのひとときでも

 

我が家が誰かの居場所になることができたら

 

とても幸せなことだな、と思います(^^)